周期的な強制振動(減衰項無し)の補足
前回(周期的な強制振動(減衰項無し) - phys-aのブログ)は減衰項なしで強制振動を考え、固有周期と強制振動を与える周期によって構成されるパラメータ の値で場合分けをして解く、ということを述べた。その時 において を考えると発散するとも述べたが、それは一部誤っていることに気づいたので、そしてそれが何なのか自分でもよく分からなくて面白いと思ったのでここに書いておこうと思った。
まずは において得られる運動方程式の解を述べておくと
\begin{equation} x = A \sin(s+\delta) + \frac{X}{1-\alpha^2} \sin\alpha s \end{equation}
であった。1項目の斉次での解は単なる振動を表していて、もちろんここで注目したいのは第2項。 そもそも が前提として解いているのだが、一応その極限も見てみたいというのが人というもので、ぱっと見発散しそうである、というか実際基本的には発散する。ただし一部発散しないときがあるというのに気づいた。というのもサイン函数は周期関数で でゼロになるからで、その時は分母がゼロになるからと言って一概に発散するとは限らない。それを調べるために思い出されるはサイン函数の無限乗積表示
\begin{equation} \sin x = x \prod_{n=1}^{\infty} \left( 1 - \left(\frac{x}{n \pi}\right)^2 \right) \end{equation}
である。運動方程式の第2項をこの無限乗積で書いてやると
\begin{equation} \frac{\sin \alpha s}{1-\alpha^2} = \frac{\alpha s}{1-\alpha^2} \prod_{n=1}^{\infty} \left( 1 - \left(\frac{\alpha s}{n \pi}\right)^2 \right) \end{equation}
である。これを見れば時刻が の時は
\begin{equation} \frac{\sin \alpha l \pi }{1-\alpha^2} = \frac{\alpha s}{1-\alpha^2} \prod_{n=1}^{\infty} \left( 1 - \left(\frac{ l }{n}\right)^2 \alpha^2 \right) \end{equation}
となり で有限な値になる……だけです。これに何か意味があるのかよくわかっていません。MathematicaでPlotとしてたらなんか楽しかった程度の内容です。値も数値計算でしかわからないんですかね……。一応ちゃんと で得られる と で一致してるようですが。
gnuplotで適当にプロットしたのを以下に貼っておきます。ひとつ目は発散するパターン。ふたつ目が時刻が適当な値の時の発散しないパターン。比較対象として での定数の直線も併せてプロットしてる。 で交わっている(一致している)ように見る。
補足しておくと、この第2項の導出の仕方によっては の極限で微分の形になって での形、時刻と共に振幅が増加する解が得られる、というのもあります。適当に力学の本やネットを漁れば出てくると思います。